で、ここからが本題なのですが。

てなわけで前振りが長かったですけどw。
第二期を終えてあまり間もない時期なのに、「意見を発したい!」という思いでブログを書いてしまったのが2006年12月の日記でした。


これです↓、
http://d.hatena.ne.jp/tenten-chama/20061225/p8


『大虐殺』なんてかなりギョッとするタイトルを付けてますが。
内容はクマの捕殺数に関するカキコでした。


簡単に振り返ると

平成18年度はクマの人里への出没が多く、11月までの時点で4,578頭のクマが捕殺されました。
日本に生息している熊の数は10000〜15000頭と言われており、半数近いクマが殺された事になります。。。


それって、どうなの!
クマを殺さなければいけないことがあるのは仕方がない。クマの被害に遭ってる人は実際にいる。
でもその捕殺頭数は行き過ぎなんじゃないの?管理体制は?実態把握は??
そういうところ疎かにして、ただ出てきたら殺すってどうなの??
絶滅に追い込んだら、もう元には戻せないんだよ。

って感じの内容(だったつもり)です。


このクマの捕殺の件は二度も止めたブログへもう一回カキコしてしまったきっかけでしたから、ずっと気にはしていました。そして、たまたまつい先日ある報道(NHKでした)でその後のクマ捕獲の状況を見たんですけど、また頭に来ちゃいまして(苦笑)


asahi.comにその記事があったので転載しておきます。
http://www.asahi.com/national/update/0110/TKY200801100065.html

人里へのクマの出没激減 山の木の実豊作が一因?

2008年01月17日02時50分


 各地で今年度はツキノワグマの出没が激減している。人里に出て過去最多の4300頭余りが有害捕獲された昨年度とは様変わり。クマのエサとなるドングリなど山の木の実が豊作だったことが一因と見られており、そこからは自然界で樹木が生き残っていくための戦略も見えてくる。


 環境省の統計によると、昨年10月末時点で有害捕獲されたツキノワグマは923頭(前年同期4169頭)で、人身被害は36人。クマが冬眠に入ることを考えれば、例年通りならこの先急増することはない。たとえば群馬県では10月末までに88頭だったが、11月以降はゼロだ。


 06年度は、全国で過去最多の4340頭にのぼり、人が死傷する被害も145人に上ったのとは大違いだ。


 同省の委託で、ツキノワグマの出没メカニズムを研究している森林総合研究所関西支所の大井徹・生物多様性研究グループ長は「ミズナラやサルナシなど、全般的に山の木の実が豊作で、エサを求めて里へ下りるクマが少なかったのではないか」と分析する。


 特に東北では、ブナの実の豊凶とクマの出没が連動しており、凶作だった06年度は、多くのクマが人里へ下り、駆除された。


 こうした木の実は、結実に必要な栄養を蓄えるのに数年かかるため、年によって豊凶に大きな変化がある。


 また、大井さんは「動物や昆虫に実を食べ尽くされないために、凶作(エサ不足)で捕食者の数を減らすという説もある」と話す。数年ごとに凶作になって実を食べる動物や昆虫を減らすことに成功した樹木が生き残った、というわけだ。


 長野県信濃町在住で、「C・W・ニコル・アファンの森財団」理事長を務める作家のC・W・ニコルさんは、山の木の実の状況について「黒姫山に27年いるが、07年の秋は一番良かったと感じている」と話す。「クマが出たと言って大騒ぎする話をあまり聞かなかった」。激減したことについては、「06年の秋にたくさん駆除したことが理由の一つだ」と話す。


もうね、アホかと!と言いたい。


捕殺数が減りました。それは大変結構なことです。
では何故減ったのか?その考察がいい加減すぎる!


確かに2007年は豊作だったんでしょう。
木の実の豊凶でエサを求めるクマの出没数が増減するのもそうでしょう。
でも、第一の理由はそれじゃないでしょう!?


2006年に半数(1/3〜)近いクマを駆除しちゃってるから、現存クマ一頭当たりのエサの量は不作だった2006年と同量の収穫しかなかったとしても増えるはず。この時点で出没数の減少が予想できるんです。その上で2007年は木の実が豊作だったためさらに出没数が少なかった。と、前年のクマの駆除と豊作というこの両方の側面が分析されてクマの捕殺数減少に繋がったという結論でなければダメでしょう。


ましてや、

「動物や昆虫に実を食べ尽くされないために、凶作(エサ不足)で捕食者の数を減らすという説もある」と話す。数年ごとに凶作になって実を食べる動物や昆虫を減らすことに成功した樹木が生き残った、というわけだ。

って説を持ち出して。それ、おかしいでしょ?


「説」としてはそういうモノがあっても良い。自然淘汰説の一種だよね。
ただ、そのクマを殺してるのは自然ではなく人間。
凶作によって"自然淘汰されて"今回の現象が起きている訳ではないのが明白なのに、こんな説を持ち出すとか科学者としておかしいでしょと言いたい。
それにそもそも森林は自然であって自然じゃない。日本の森林は植林とか人の手が入って成り立っている訳で、簡単に自然淘汰を口にするのはいかがなモノかと思う。
(よくクマが人里に出てくるのは人の居住域が広がってクマの居場所が減り、食物を採る場が限られたからだという話を聞きますが、そうやってクマの密度が高まった結果、以前よりも頻繁に凶作に陥る回数が増えたとかそういう結果があるならまた考えますけど。)


こういう人が『環境省の委託でツキノワグマの出没メカニズムを研究している森林総合研究所関西支所の生物多様性研究グループ長』なんてやってるわけで。まぁ言いたいことも言えない立場なのかもしれないけどさ、環境省でなくてクマ見て仕事しようよ。


記事は最後にCWニコル氏の『(激減したことについては)06年の秋にたくさん駆除したことが理由の一つだ』という談話が載っていて、まぁ多少なりともちゃま的意見も補完されてますけど。マスコミはこういう時は結構引いた立場をとるんだよなぁ。(政治や国際関係では明らかにイデオロギーに偏った記事を書くくせに。要は環境ノンポリなんだよね。)
それにちゃまが見たNHKのニュースは単純に捕殺数が減ったことと、グループ長談話だけでしたからね。あれだけ見てると豊凶だけが問題だと思われかねない。NHKは事実だけ報道してくれればいいと思っているけど、グループ長談話はいらないと思う。



長々と不満を書いちゃいましたが。
ちゃまが言いたいのは、本質を見ずにお茶をにごすな。と。
去年も書いたけれど、熊を捕殺しちゃいけないと言ってないんです。
ただ捕殺するのには現在の実勢把握に基づく計画的な間引きを実現できないと、また「何千頭も駆除した→翌年控えた」のサイクルの繰り返しになっちゃうと思うんですよね
それを目指す努力もせずに場当たり的な対応をしてるようにしか見えない。ってところです。


で、みなさんにはこんな問題があって、怒ってるヤツがいるんだなぁとちょっと知ってもらえたらいいんです。
ではでは。